いよいよ以下からはベスト3、特に本当に面白い名作をピックアップしました。
ゴルゴを1度読んでみたいと思ったら、以下の3話は絶対に読んでみてください。
3位 第100話『芹沢家殺人事件』
かつて警視庁で刑事を務め、現在は防衛庁副長官である後藤の下を、往年の同僚・安井修記郎の妻が訪ねる。安井修紀郎は終戦直後の1946年6月に起き、ついに未解決のまま時効が訪れた「芹沢家殺人事件」の捜査を共に担当した仲だった。安井宅に招かれ久々に旧友に対面した後藤は、「お互いの人生を変えてしまった」この事件を振り返る。
「や、やつは……」
「やつは!?……」
記念すべき100話目はゴルゴのルーツもの、かつファンブック『ゴルゴ学』で 見事ファンが選ぶエピソード1位に輝いた名作!
しかも、この話が初掲載されて40年以上が経った今なお、シリーズ最高傑作として名高い。
この記事において、3位以降のエピソードは個人的にも全力でオススメできるので、迷ったら是非全てを一読してほしい。
ゴルゴという超人を絡めた、これはまさに傑作ミステリと言ってよいだろう。
ゴルゴの正体は?これは、読者も原作者のさいとうたかを氏をも知らぬ永遠の謎となるテーマだ。ゴルゴを超常の存在足らしめるためには、恐るべき理由付けが必要だ。
このエピソードは、作者が凄まじく力を入れて書いた脚本であろう。そして、ゴルゴは自らの素性を探るものを許さない。
原作から既に独り歩きしているからこそ、ゴルゴという超A級スナイパーは伝説なのだ。
このエピソードが収録されている巻はこちら!
ゴルゴ13 (Volume 25) 芹沢家殺人事件 (SPコミックスコンパクト)
2位 第382話『黄金の犬』
フランスパスツール研究所の天才女性学者が遺伝子操作で非常に強力な新種の狂犬病の病原体を作り上げた。それを世界の要人の襲撃に使おうと考えたイスラム原理主義組織は女史を誘拐するが、組織の構成員の一人が裏切り、女性学者の可愛がっていたゴールデン・レトリバーを研究所の所員に引き渡す。構成員は組織に射殺されてしまうが、組織の支援者の富豪は息子であった構成員が殺されたことに激怒し、組織のリーダーの暗殺をゴルゴに依頼する。用心深いリーダーの居所は皆目わからず、ゴルゴは研究所に保護されていた犬を逃がし、犬の追跡能力を利用して囚われている女性学者を見つけ出させ、同じ場所にいるであろうリーダーを見つけ出そうとする。自身もブリーダーの下で訓練された優秀な犬を何匹も引き連れ、ゴルゴはレトリバーの後を追う。
「 まるで……魔法だ!!や、奴は東洋の悪魔かっ!?…… 」
「 短時間でこうまで犬との信頼関係を作り上げるとは……ゴルゴ13……」
シナリオとしての最高峰は『芹沢家殺人事件』で間違いないが、このエピソードは犬好きには涙腺崩壊モノだ。
ターゲットを探索しスナイプする上で、ゴルゴはパートナーとなり得る4匹のイヌを選定し、目的達成のために連れていく。
今回、ゴルゴが選んだイヌたちは一芸には非常に秀でているものの、気性や他の能力に問題があり貰い手が無い悲しい雑種のイヌたちであった。
だが、敢えて総合能力が高さではなく扱いにくいイヌを選んだゴルゴのもと、恭順したイヌたちはその秀でた能力を如何なく発揮。イヌたちとの絆で難関を乗り越え、ゴルゴは遂に任務を遂行せしめる。
だが、後方には既にゴルゴを追い詰めんとするフランスの特殊部隊が迫り来ている。ゴルゴが逃げ切るにはイヌたちを見捨てていくしかないが…。
イヌたちを見つめるゴルゴ。その冷徹な瞳の奥底に覗くは慈愛か…。
感涙モノのラストシーンは必見。
犬はかけがえの無い、人間のパートナーであり
その関係は神秘的ですらある
そんな犬好きの誰かが言った
「子供が産まれたら子犬を飼うがいい
子犬は子供より早く成長して
子供を守ってくれるだろう。
そして子供が成長すると良き友となる
青年となり多感な年頃に犬は年老いて、死ぬだろう
犬は、青年に教えるのである
死の悲しみを」
ゴルゴ13 (Volume111) 黄金の犬 (SPコミックス コンパクト)
1位 第213話『2万5千年の荒野』
カリフォルニア州郊外の原子力発電所でトラブルが発生。解決には原子炉に充満する蒸気を逃がさなければならないが、肝心の逃がし弁は超過勤務を強いられた職員のミスで壊れてしまっていた。もし原子炉が爆発すれば広島型原爆の数百発分の放射能が散布され、ロサンゼルスが2万5千年の死の街に……!偶然ゴルゴの狙撃を目撃したプラントの設計者・バリーは、蒸気を逃がすためにサージ管を狙撃で撃ち抜くことを依頼する。だが、狙撃場所はメルトダウン寸前の原発の中だった…。
1位は『ゴルゴ学』の読者が選ぶエピソード投票でも2位を獲得した屈指の名作!
原発技師のバリーとゴルゴのプロフェッショナル同士の矜持が非常に熱いが、このエピソードの本当の凄さは、まるでチェルノブイリ原発事故や福島原発事故を予言しているかのような話の盛り込みだ。
・企業側と規制側の癒着
・原発利権と環境問題に割れる地元世論
・ささいな偶然とミスが重なり何重もの安全システムが崩壊する人災の恐ろしさと原子力をめぐる問題点が不足なく盛り込まれている。
技術の進歩に人間の進歩が追いつかない……
この問いかけは四半世紀を経てもなお本作の鳴らした警鐘が意味を失っていなかった現実によって証明されてしまった。
ラストシーンの「どうしたらいいんでしょうか?」というパーマーの問いには、30年たっても答えは出ていない。
改めて、ゴルゴ13という作品の構成力の高さに驚かされた次第である。日本人にとって、原発問題に深く関心を持ち始めたのはあの3.11のフクシマからだからである。この作品は、30年以上も前から原発に対して警鐘を鳴らしていたことになる。
結局、人は過ちを繰り返すのだろうか…?
これは、我々ひとりひとりが考えていかねばならないことなのである…
ゴルゴ13 (Volume55) 2万5千年の荒野 (SPコミックスコンパクト)
おまけ:ゴルゴ13ワーストエピソードは…?
長い長い歴史を持つゴルゴ。神作品であることは言うまでも無いが、これだけ長い間連載を続けていると、当然ながら外れエピソードも存在する。
最後におまけとして、ゴルゴファンの間でも最も評価の悪いエピソードを紹介して〆としよう。
第111話『氷結海峡』
遭難者として保護したイヌイットは米国のスパイだった。ベーリング海峡を挟んで米国と鼻先を突きつけ合うソ連のウェーレン基地は、このイヌイットのジョー・アガスラックに軍事機密を奪われ逃亡されてしまう。ベーリング海峡は冬期は海が氷結するため徒歩でも渡ることは不可能ではない。とはいえそれは、「最強のイヌイット」と名高いジョーをもってしてこそ可能なことであった。ブリザードが吹きつける厳寒の中では偵察機を飛ばすこともできず、ソ連はゴルゴにジョーの追跡と抹殺を依頼する。
賛否両論回。というか否定意見のほうが圧倒的に多い。
なんでここまで否定意見が多いのかというと、ゴルゴのターゲットを殺すやり方があまりにもスマートじゃないから。ゴルゴがまるで卑劣漢である。
そのやり方というのは、ターゲットの婚約者を強姦し、その悲鳴を録音したテープを聞かせて我を忘れた隙に狙撃するというもの。
これはゴルゴではない…。男女のまぐわいにおいては、正攻法な意味で女性に悲鳴を上げさせるのがゴルゴなのだ。女には女の悦びを与えるのがゴルゴなのだ。
こんなゴルゴは見たくなかった、と言わざるを得ないだろう。手段を選ばぬプロ、と言ってしまえばそれまでだが…。
終わりに
連載40年は伊達や酔狂じゃない、分業制とはいえ毎話毎話こんなクオリティの話を描いているのは凄まじいことだと私は思います!!!
特に大学生くらいになったら内容を理解できるから、ゴルゴを読んで学ぶことも多くあるハズ。
読め!!ゴルゴを!!!
それでは、この記事を読んでくれた皆さん
そして
ズキューーーーーーーーーーーーーーーーン………
▼ビッグコミックの誌面にゴルゴの追悼企画があったので、ネットで噂されている伝説の真相について記事にしました。良ければこちらもあわせてご覧ください↓
▼オススメ記事
ゴルゴ13って、思春期に読むと、国際政治やら、世界市場やらが身近に感じられる、そんな気がします。
それはそうと、自分のおすすめは、
・最後の間諜−虫(インセクト)−
・ザ・スーパースター(第103話)
・死闘ダイヤ・カット・ダイヤ(第212話)
・第4帝国シリーズ
かな。
>>とおりすがりさん
コメントありがとうございます。
その通りですよね。私は大学生のときにゴルゴを愛読しておりましたが、まあ若干右寄りかな?とか思うところもありますけど、世界情勢の変化をリアルに描いていて(30年以上連載しているので時事ネタも)、とても勉強になりました。
ダイヤ・カット・ダイヤ、私も好きです!
実はまだまだ好きなエピソードはあるので、追記していこうかなwww
またコメントよろしくお願いします。
久々に読みたくなって(ほぼ40年ぶり)ただ今古本屋巡りで収集中です。100円前後のだけ。まだ40巻(それも歯抜け)くらいまでしか読めてないのでベスト、というわけではないですが、私は、分厚い防弾ガラスを撃ち抜くエピソードと、戦車のキャタピラのピンを撃って抜いてしまう話が面白かったです。ここで挙げられた話はまだほとんどこれからなので楽しみです。
四つミスがあったので指摘しておきます。
一 p1 要件→用件
二 p2 一貫としない→一貫しない
三 同 後読感→読後感
四 p3 恭順したイヌたち→・・・難しい。恭順は名詞なので「恭順した」は誤りですが。「忠実な僕となったイヌたち」くらいかな。
ご指摘ありがとうございます!!
>>ゴルゴくんさん
戦車のキャタピラのピンを撃ち抜く話は私も記憶にあります!
しかしながら、ゴルゴは対戦車戦はかなり多彩な戦術を用いているので、どの話だったのか定かではないですね。
ちなみに「ノモンハンの悪夢」で、戦車をピアノ線で行動不能にした戦いが一番好きです。