【ゴルゴ13】ゴルゴ13超A級傑作エピソードランキングベスト13!【オススメ作品】

8位 第456話『ノモンハンの隠蔽』

中堅の精密機械メーカーを経営する溝口浩樹は、死の床についた父からとある条件と引き替えに遺産を全額譲渡する話を持ちかけられる。その条件とは、太平洋戦争の二年前に起こった日ソ国境紛争「ノモンハン事件」にまつわるものだった。激戦により血で染まった大草原のどこかに、一万人を超える戦死者達の想いを結集したとある「遺品」が埋められているのだという。戸惑いながらも父の条件を引き受けた溝口は、かつての父の部下であった来栖と共に、同じく部下で「遺品」の行方を知る男のいるというフィリピンのミンダナオ島に向かうが……。

「謎を解き明かす系」が多いゴルゴエピソードの中でも、特に好きな1話。

謎解き、そして対決。ゴルゴ13らしい非常に読み応えのある作品で、『戦争』をテーマにしたエピソードの中でも抜きんでて面白い。

歴史に葬られた闇、戦争犯罪…。結局のところ、当事者にしかわからないんだよなあ。慰安婦問題然り…

隠蔽されたノモンハンの真実、散った戦友たちの思いが込められた「遺品」とは何なのか?

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7位 第456話『アナライズ・ウクライナ』

2006年、MI6は新聞広告でエージェントを募集して話題になった。それに応募して採用されたのが、ジェレミー・デイビスという若者だった。ある日、ジェレミーがトイレでさぼっていると、他のエージェントの会話が漏れ聞こえた。ウクライナで、大統領と首相の専用車が狙撃された、ただ防弾ガラスで、大統領も首相も無事だったという。ジェレミーはこの話を飲み友達のダグ・ヒギンズに伝える。ダグはかつてMI6で有能なアナリストとして働いていたが、今は身を持ち崩していた。ダグの解釈によれば、親欧米の大統領と、親ロの首相、両方に同時に威嚇した、ということは、ウクライナの民族主義者の仕業と考えられるという。やがて、そのグループの正体は、ガリツィア師団と判明し、MI6はリーダーの暗殺をゴルゴ13に依頼する。

私が大学時代に読んで、大きく感銘を受けたエピソード。

独立なんて言われても、一度も諸外国からの占領政策を受けたことが無い日本の若者にゃピンと来なかったのだけれど。…ん?アメリカ?

ウクライナ人民の独立への渇望は、私たち「日本人の若者」には到底理解が及ばぬことだろうと思う。この作品では、「ウクライナの真の独立」について言及されている。20世紀中に4回も独立宣言をしたものの、4回とも挫折したという、辛酸を舐め尽したウクライナ苦難の歴史も……。

『極東に日本という国があるが、一貫としない外交により国の主張がふやけてしまい、この国の若者は独立心が存在しない。しかし、それがどれだけ幸せな事か?……私は羨ましく思える……』

▼この話に関しては、当ブログでも別記事で言及しています。

www.tettunn.com

※追記

2022年2月24日、ロシアがウクライナに対して侵攻を開始。歴史は繰り返されるのか。

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6位 第199話『死闘ダイヤ・カット・ダイヤ』

世界で採掘されるダイヤモンドのすべてを買い上げ、ダイヤモンド市場を独占しているデ・ロアズ社。かつて会長ソロモンとの熾烈な戦いに敗れたホワイトロックは、再び莫大なダイヤモンド鉱床を発見してダイヤモンド・シンジケート倒壊を画策していた。ホワイトロックはゴルゴにコンタクトをとり、デ・ロアズ社の象徴である世界最大の巨大ダイヤを銃弾で撃ち砕くことを依頼する。

地球上でもっとも硬いレアメタルであるダイヤモンド。そのダイヤを狙撃し粉砕するという途方もないミッションを与えられたゴルゴ。

一見不可能にしか思えないこの仕事を遂行するために、超一流のダイヤ職人のもとを訪れる。

このエピソードも、超一流同士にしかわからない矜持が読み取れる作品である。世界で最も価値があり最硬の強度を誇るダイヤモンドを砕くには、面ではなく点(ポイント)を撃ち抜かなくてはならない。超一流の職人ですらそのポイントを見極め、正確に一撃で穿つのは極度の精神的負荷を負う。その技の極意をゴルゴは…

政治も絡んだ人間ドラマも見どころ満載である。

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5位 第262話『すべて人民のもの』

シュヴァイツェルと名乗る一人のロシア人が現れた。シュヴァイツェルは自らをニコライ二世の孫だと主張し、かつてロシア革命間際にヒューラーに預けられた旧ロマノフ王家の隠し財産の全額引き渡しを要求する。相続にはソ連政府の承認があり、アメリカの国家予算に匹敵する莫大なその遺産がソ連に渡れば、東西の富のバランスが逆転してしまう。相続人を証明するメダルはシュヴァイツェルの持ち物の他にもう一枚存在し、ヒューラーからもう一枚のメダルの所有者を捜すよう頼まれたフリーの調査員・フェイスは、CIAの協力も得て調査を行うが、やがてその調査が進むうちに、歴史の闇に埋もれた第五皇女「ドーラ」と、その息子である日系ロシア人「グレゴリー・皇士・東郷=ロマノフ」の存在を知ることになる。

ロシアの怪僧グレゴリー・ラスプーチンにスポットを当てたエピソード。

まだこの時勢はドイツが東西に分裂しており、旧ソ連とアメリカが世界の覇権を争っていた時代である。共産主義と資本主義、当時の世界情勢の動向をスパイ漫画のような感覚で知ることが出来るのもゴルゴの素晴らしい点だ。あと当時の人種差別のリアルさとか。

話がそれたが、このエピソードは後読感が素晴らしいので、是非とも読んでみていただきたい作品なのである。数多くのエピソードが存在するゴルゴの「ルーツもの」なのだが、旧ロシアを崩壊に導いたとされる怪物ラスプーチンがルーツだとすれば、説得力は抜群である。

そして、何かと悪者にされがちなラスプーチンが実はロシアを憂いていたという展開も白眉である。個人的にも、ぜひ読んでほしいエピソードだ。

ラスプーチン…きっと奴のアイディアだ!”すべて人民のもの”にするために…

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4位 第354話『白龍登り立つ』

チベット亡命政府は、中国チベット自治区に住む少年ラモンをパンチェン・ラマの新たな転生者と認定した。が、中国政府はこれを了承せず、強引に別の子供をパンチェン・ラマを選んだ。ラモンの身を案じたダライ・ラマ14世はゴルゴにコこのクトをとり、パンチェン・ラマの転生を祝う転生祭で騒ぎを起こすことを依頼し、さらには騒ぎに乗じて逃亡するラモンのチョモランマ越えを助けることを願う。

とにかく、中国共産党特殊部隊・『中国山岳部隊』の隊長である燐隊長の存在感が抜群。

現在まで続く中国共産党によるチベット問題が織りなすドラマももさることながら、ラモン少年を連れてヒマラヤ山脈へ逃げるゴルゴを負う燐隊長の鬼のような追撃が凄まじい。

世界最高峰であるチョモランマは、並の人間が生存を許される世界ではない。プロのアルピニストですらわずかな判断ミスで簡単に命を落とすこの極限の環境下で、冷静な判断を下し鍛えぬかれた肉体で隊を率いるこの男も、ゴルゴと同じく紛れもない「超人」

超一流のプロ同士の駆け引き、読み合い、純粋な戦いが描かれており、爽やかな後読感がある名作である。

「ふふふ、共産党は仏より上にあるのさ」

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▶次ページでいよいよベスト3を発表!!

5 Comments

アバター とおりすがり

ゴルゴ13って、思春期に読むと、国際政治やら、世界市場やらが身近に感じられる、そんな気がします。
それはそうと、自分のおすすめは、
・最後の間諜−虫(インセクト)−
・ザ・スーパースター(第103話)
・死闘ダイヤ・カット・ダイヤ(第212話)
・第4帝国シリーズ
かな。

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アバター tettunn

>>とおりすがりさん
コメントありがとうございます。
その通りですよね。私は大学生のときにゴルゴを愛読しておりましたが、まあ若干右寄りかな?とか思うところもありますけど、世界情勢の変化をリアルに描いていて(30年以上連載しているので時事ネタも)、とても勉強になりました。
ダイヤ・カット・ダイヤ、私も好きです!
実はまだまだ好きなエピソードはあるので、追記していこうかなwww
またコメントよろしくお願いします。

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アバター ゴルゴくん

久々に読みたくなって(ほぼ40年ぶり)ただ今古本屋巡りで収集中です。100円前後のだけ。まだ40巻(それも歯抜け)くらいまでしか読めてないのでベスト、というわけではないですが、私は、分厚い防弾ガラスを撃ち抜くエピソードと、戦車のキャタピラのピンを撃って抜いてしまう話が面白かったです。ここで挙げられた話はまだほとんどこれからなので楽しみです。
四つミスがあったので指摘しておきます。
一 p1 要件→用件
二 p2 一貫としない→一貫しない
三  同 後読感→読後感
四 p3 恭順したイヌたち→・・・難しい。恭順は名詞なので「恭順した」は誤りですが。「忠実な僕となったイヌたち」くらいかな。

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tettunn tettunn

>>ゴルゴくんさん
戦車のキャタピラのピンを撃ち抜く話は私も記憶にあります!
しかしながら、ゴルゴは対戦車戦はかなり多彩な戦術を用いているので、どの話だったのか定かではないですね。
ちなみに「ノモンハンの悪夢」で、戦車をピアノ線で行動不能にした戦いが一番好きです。

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