先のCSファーストステージは、まさにプレーオフに恥じない熱闘となった。
私も久しぶりに血が滾る思いだったが、しかし、CSファイナルステージの前哨戦とでもいうべきファーストステージで、あのようなギリギリの戦いを強いられているという事実は真摯に受け止めねばなるまい。
つまりファーストステージで巨人を圧倒出来なかったのに、どうしてファイナルで広島を撃破出来ようかという話なのである。
直近では、2014年阪神が短期決戦で圧倒的な強さを見せた
2014年阪神は2位ながら、ファーストステージ、ファイナルステージ共に投打で3位広島・1位巨人を圧倒。スイープで日本シリーズに進出した。
チームの勢いもさることながら、相手のチーム状況に左右はされるが、不調に陥っていた巨人を電光石火の如く速攻を持って叩き潰したのである。
この年の阪神は最強の外国人カルテットを擁していた。首位打者・マートン、打点王・ゴメス、最多勝・メッセンジャー、セーブ王・オスンファン。助っ人外国人全員がタイトルホルダーという陣容であった。
脇を固めた西岡・福留共に好調で、鳥谷も健在だったので短期決戦でその強さが際立ったといえる。
今年のCSにおけるベイスターズはどうか。
巨人は本調子ではなく、しかもミスが際立った。ベイスターズもそのミスに付け込みきれたかといえば、そうではない。
評論家のエモやんによれば、「このCSファーストにおける両軍の戦いぶりはあくまで低レベルなものであり、決して高次元な戦いをしたが故に最後まで試合がもつれたわけではない」と結論付けている。言い方は悪いが、しかし今度ばかりは納得せざるを得ないところがあるのもまた事実である。
もし広島を撃破する可能性があったとするならば、それこそ菅野が来ようが田口が来ようが、ある程度余力を残す余裕が出来るほどに圧倒的に勝たねばならなかったといえるだろう。
相手に1勝のアドバンテージがある以上、速攻を掛けて何がなにやらわからぬうちに勝ち切ってしまうしかない。
短期決戦で、チーム状態を絶好のものに持ってくるというある種の運要素が必要だ。
広島の打線は巨人とは桁違いの破壊力である、空中戦で対抗するのは無謀
巨人の打線が坂本・村田・阿部・長野だけのピストル散発打線だったのに対し、広島の打線はまさしくガトリング打線だ。
俗に言う「タナキクマル」のリードオフ、準打点王の新井、山田に比肩する成績を残した鈴木に安打製造機のルナ、長打力抜群のエルドレッドという打線の並びは全く隙がない。
2番と6番以降で明確に勝負の意識分けができた巨人打線とは破壊力が桁違いなのである。CSファーストでは東京ドームという球場の特性上、長打力が鍵を握るため空中戦を前提とした打線を構築せねばならないと書いた。実際、CSファーストステージで両軍が主な得点源になったのは本塁打だったし、阿部、村田は3戦目では「ドームラン」を放っている。
しかし、マツダスタジアムとなれば話は別だ。マツダスタジアムは球場パークファクターを見る限り本塁打が出にくい球場というわけではないが、神宮、ハマスタ、東京ドームとは比べるべくもない(というより、セの球場においてナゴドと甲子園が突出してホームランが出ないのである)。
そしてあの広島の重量打線。打撃戦を挑むのは無謀だろう。長打力の差が如実に現れる。
ならばどうするかといえば、これはもう投手陣が必死で広島打線を抑え込むしかない。格落ちの先発陣で疲弊した中継ぎで、だ。
これらが、私がCSファイナルをベイスターズが突破できる確率が10%も無いだろうと考える理由である。
どうなるか?
…まあこのような推論を展開したところで結果が変わるわけでもなし、むしろ張り切って応援する方々に水を差すような邪推と言えるかもしれぬ。
しかし、私としてはもはやCSファースト突破という結果だけで満足しているところがある。
勿論心からの応援はするし、負けたら悔しいだろう。だが、負けたという結果に対しても、今年の奮闘を称えて惜しみない拍手を送る心積もりである。
さて、そろそろ試合開始の時間だ。
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